豊胸バッグの破損で変色した症例
一番多い変色の例が、インプラントである豊胸バッグの破損によるものです。まずは実例を見てみましょう。
漏出したシリコンに血液や体液が混じって変色
シリコンバッグの破損では、抜去(除去)時にはすっかり変色していることがあります。こちらの症例も、体液と混ざって真っ赤に変色していました。
コヒーシブシリコンの豊胸バッグでも漏出する
シリコンバッグ豊胸の場合、現在はコヒーシブシリコンバッグが主流です。豊胸前に他院で「コピーシブシリコンは凝固率が高いので、万が一豊胸バッグが破損しても、周辺組織に漏れ出すことはありません」と説明され、安全性を信じて選ぶ方がたくさんいます。ところが当院で除去(抜去)を行うと、コヒーシブシリコンでも体液と混じり、傷口からあふれ出てくる症例が見受けられます。
豊胸バッグが破損し漏れ出すと、炎症・腫れの原因に
「左右差はシリコンバッグ異常の証〜腫れ上がったバストの行方〜」でもご紹介しましたが、どんどん左胸が腫れてきて、「これはまずい」と来院されたゲストがいらっしゃいました。取り出したシリコンバッグは原形をとどめないほどボロボロで、真っ赤に変色。周辺組織がひどい炎症を起こしていました。豊胸バッグ除去に1時間もかかるほど、シリコンがカプセル被膜の外まで広範囲に漏れ出していたのです。血液やリンパ液と混じっていることも除去に時間がかかった要因と言えます。
CMCバッグも破損すると変色する
「安全性に問題あり」とされるCMCバッグでも、破損により変色しているケースがありました。破れていた左側は中身がほぼ流れ出し、色が変わっています。
脇の下からの豊胸バッグ除去が困難になることも
CMCバッグの内容物は「カルボキシル・メチルセルロース」というセルロース系水溶性高分子に、生理食塩水を混ぜたもの。水分が多いので、破損すると短期間でバストがしぼみます。完全に中身が流れ出してしまうと、アンダーバストを切開して取り出すほかなくなってしまいますが、この症例ではかろうじて脇の下から取り出すことできました。
欧米では使用が禁止されている素材でもあり、CMCバッグで豊胸している方はすぐにでもバッグ除去の検討をおすすめします。
豊胸バッグが破損していないのに変色した例
体内に入れているうちにバッグの内容物が劣化したと推測される症例もありました。
真っ黒になっていた生理食塩水バッグ
担当したドクターにとっても初めてのケースでした。ゲストの胸から取り出した生理食塩水バッグが真っ黒に変色していたのです。
通常の生理食塩水は無色透明です。ゲストがこれを胸に入れたのは14年前。腐敗なのかカビなのか定かではありませんが、劣化で変質したことは間違いないと考えられます。
豊胸バッグは時間とともに劣化する人工物
インプラント豊胸で使われるバッグは人工物なので、入れた瞬間から経年劣化は避けられません。「ドクターは見た! 衝撃的な実例集〜シリコンバッグ豊胸まさかのトラブル〜」でもご紹介したように、海外では生理食塩水バッグを除去(抜去)したらカビだらけだったという実例もありました(その影響か、その方は原因不明の体調不良に悩まされていたようです)。
また、破損までのカウントダウンがスタートするとも言えるでしょう。先にも述べたように、完全に破損してしまうと脇の下から豊胸バッグを除去することは困難になり、胸の下を切らざるを得なくなります。異常を感じた場合は早めに受診ください。
- 知恵まとめ
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- 豊胸バッグが変色する原因の多くは破損
- コヒーシブシリコンバッグでも漏出することがある
- 豊胸バッグが破損していなくても、経年劣化で変色は起こり得る