自覚症状なしで豊胸シリコンバッグが破損していたケース
そのゲストは、「豊胸手術でシリコンバッグを入れた左胸が少し痛む」と、THE CLINICに来院されました。見た目にも、触診でも異常なし。しかしエコー検査で、左胸の豊胸シリコンバッグが破損していることが分かったのです。
右のバストの黒い部分が波打っているのは、軽度のカプセル拘縮で豊胸シリコンバッグが圧迫され、変形していることが原因。左はその部分が、白濁しているのがわかります。これは豊胸シリコンバッグが破損し、バッグを包み込む被膜(カプセル)の内にシリコンが漏れ出しているためです。
シリコンバッグ豊胸後の軽度のカプセル拘縮は気づかないことも多い
カプセル拘縮は、異物を入れたことによる人体の拒否反応です。豊胸リコンバッグを胸に入れるとすぐに自覚症状が出る人もいますが、緩やかに症状が進み、圧迫された豊胸シリコンバッグがいつの間にか破損することもあるのです。このゲストの方は、まさに時間の経過とともに拘縮がゆっくりと進行していくケースでした。
豊胸シリコンバッグが破損したのになぜ気づかないの?
「破損したらさすがに気付くのでは?」と思う方もいるでしょう。でも、実際には無自覚のことも多いのです。先に触れたように、豊胸シリコンバックを入れるとそれを包み込むように、被膜(カプセル)が形成されます。他院では豊胸シリコンバッグの挿入前に「万一バッグが破損しても被膜の外までシリコンが漏れ出すことは稀です」と説明をすることが多いようですが、あながち間違いではありません。中には「ジェル状のシリコンに比べ、コヒーシブシリコンは破損しても漏れ出しにくいので安心です」と、ゲストの前でわざとサンプルのシリコンバッグに傷をつけ、流れ出さないことを証明して安心させることもあるようです。
時間とともに進行するシリコンによる炎症
- 液状化したシリコンの様子
- 取り出したシリコンバッグ
「バッグが破れても漏れ出さないはず」のシリコン。ところがTHE CLINICでは、他院のバッグ摘出の際、体内に流れ出しているシリコンがドッとあふれ出してくる例を何例も手掛けています。破損してから時間がたつと、体液が少しずつ混ざっていき、液状化することが原因です。
今回のケースでも、もともと透明だったシリコンに体液が混ざり、変色し始めていました。放置すれば、被膜の外にまでシリコンが漏れ出していた可能性があります。脇の下から破れていたしていたバッグを取り出し、シリコンを入念に洗浄しました。
長い間周辺組織にシリコンが触れていると、じわじわと炎症が起こり、痛みや腫れを生じることがあります。稀にですが、皮膚を突き破ったりするケースも……。また、ハイドロジェルなどの場合は逆に、体液を吸い込むため、片側のバストだけが膨張することもあるのです。
豊胸のためのカウンセリングとクリニック選び、ポイントはエコー検査を行うか否か
今回の破損は、エコー検査で初めてわかりました。気付かないまま健康被害が進むのを防ぐため、豊胸シリコンバッグを入れている方は定期的にエコー検査をすることが大切です。
エコー機器を置いていないクリニックには要注意
THE CLINICでは、カウンセリング時に無料でドクターによるエコー診断を受けることができます。他院でも「エコー検査を実施します」と謳っているクリニックは多いのですが、カウンセリングに行ってみると「機器を全院には導入していない」「手術の申し込み後に検査する」などの理由で受けられないことも。施術前のカウンセリングで、是非この点を確かめることをおすすめします。
「術後のエコー検査」も忘れず行うクリニックを選ぼう
もうひとつ、THE CLINICでは術後のエコー検査も全例で実施します。何らかの後遺症が残るのを防ぐためです。シリコンが被膜内に流れ出ていた場合、抜去・洗浄した術後にリンパ液がたまる場合がありますが、今回は1週間後のエコーでもそのような問題は見つかりませんでした。
クリニック選びの際は「術前・術後のエコー検査」をしっかり実施しているかどうかをポイントにしましょう。
- 知恵まとめ
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- 見た目や触感に問題がなくても豊胸シリコンバッグが破損していることがある
- 自覚症状がない場合、エコー検査でしかシリコンバッグの破損が発見できないことも
- 抜去の術前、術後のエコー検査をきちんと行うクリニックを選ぼう