豊胸手術から17年。シリコンバッグの硬さに悩む女性
豊胸シリコンバッグの除去で来院したゲストの症例をご覧ください。17年前に豊胸シリコンバッグを挿入、5年前より硬くなってきたとのことでした。そのバストは左右差が生じ、明らかに不自然な状態であることが分かります。特に左胸は大きく変形しており、術前のエコー検査にて「カプセル拘縮」を認めました。さらには強い石灰化を確認。また、左の豊胸シリコンバッグは破損が疑われる所見も見られました。ゲストが悩んでいた胸の硬さは、これらが原因と考えられます。
豊胸シリコンバッグで起こる「カプセル拘縮」とは?
人工物である豊胸シリコンバッグを挿入すると体はそれを異物と捉え、バッグの周りに被膜(自己組織の膜)を形成しますが、ここまでは正常な反応です。ただし、その形成された被膜が必要以上に厚くなると話は別。被膜が豊胸シリコンバッグを強く締め付け、バストの硬さや変形、痛みといったトラブルを起こしてしまいます。これが「カプセル拘縮」です。
「カプセル拘縮」によって石灰化が強く出ることも
今回のゲストもそうですが、カプセル拘縮を長年放置すると「石灰化」を起こす可能性が高まります。石灰化とは、豊胸シリコンバッグを包み込む被膜の周りに、体内のカルシウムの結晶が沈着することです。石灰化を起こしたバストは石のように硬くになり、さらに不自然な触感に……。
なお、石灰化は豊胸シリコンバッグの挿入から10年ほどすると高確率で発生すると言われています。
衝撃! バストから除去した豊胸シリコンバッグの状態
除去した17年前の豊胸シリコンバッグが右の画像になります。左胸の豊胸シリコンバッグは術前のエコー検査の疑い通り、破損していました。右の豊胸シリコンバッグと比べると、損傷状態は一目瞭然でしょう。17年という長い月日を経た豊胸シリコンバッグは劣化し、破損してしまったのです。
17年間挿入されていた豊胸シリコンバッグは、片方が破損していた
アメリカのFDA(食品医薬品局)は、「豊胸シリコンバッグの寿命は平均10年。11年以内には片方のバッグは破損する」との調査結果を公表しています。今回の症例はまさに調査結果の通り、豊胸シリコンバッグの片方が破損していました。
このように、長期間の豊胸シリコンバッグ挿入は、カプセル拘縮や石灰化といった様々なトラブルを引き起こします。(トラブルについては、「シリコンバッグ豊胸のよくあるトラブル3つ」をご覧ください。
最悪の場合は豊胸シリコンバッグを脇から除去することが困難になり、胸に大きな傷を作る可能性も。そのような事態を招かないためにも、当院では豊胸シリコンバッグの早めの除去をおすすめしています。
- 知恵まとめ
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- 17年前に挿入された豊胸シリコンバッグで、バストは硬く変形
- 原因は、豊胸シリコンバッグでよくあるトラブル「カプセル拘縮」
- 除去した豊胸シリコンバッグは、片方が破損していた