エコー診断
シリコンバッグによるトラブル
2000年前後にバッグを入れた方のトラブルが増えています
シリコンバッグを入れていることで起きるトラブルには、さまざまな理由が挙げられます。実際に当院でシリコンバッグの摘出(抜去)手術を行った患者様の多くは、2000年前後にバッグを入れられた方々という傾向があり、挿入後10年前後で何かしらのトラブルが起きているということが現れています。
- エコー診断で早期解決
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ここで紹介しているトラブルは、シリコンバッグを挿入していれば誰にでも起こりうる症状です。
エコー診断で適切な処置を行いましょう。- エコーで確認できること
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- シリコンバッグの状態
- 皮膜・石灰化の状態
- 乳腺の状態
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- 破裂の危険性PIP社シリコンバッグ
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平成23年12月に、フランスのPIP社が製造した破裂の危険性がある豊胸用シリコンバッグが日本にも輸出されているという事実が、フランス保健省より日本の厚生労働省へ情報提供され、破裂する兆候がなくてもバッグの摘出を促す注意喚起がされています。
PIP社の製品は、医療用に適さないシリコンの材料が使用されていたこと等がフランス医薬品庁(AFSAPPS)により確認され、平成22年3月に製造の停止と回収が行われています。
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- カプセル拘縮
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バストが厚く硬くなり硬化してしまい、テニスボールのように丸型に収縮し、場合によっては強い痛みを生じることがある、人工物(異物)に対する体の拒否反応です。10人に1人は起こすと言われています。
見た目も触った感触もテニス硬球状である。寝ても異常感があり、拘縮が明らかにわかる。
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- 石灰化
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手術をして10年もするとシリコンバッグの周りの皮膜(カプセル)にカルシウムが沈着して、石灰化を起こします。
【左】体内のカルシウムがバッグに沈着している
【右】取り除いた石灰化した破片
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- リップリング
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バッグの端が折れ曲がってバストにシワができてしまう
シリコンバッグの辺縁が折れ曲がって、ポコポコと触れる現象です。バストを寄せたり、動かしてみるとよくわかりますが、見た目にも盛り上がりがわかることもあります。やせ形で脂肪組織がほとんどない人によく見られます。
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- バッグの破損
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最近のバッグは耐久性が良くなっていますが、人工物ですので老朽化と共に破損することは十分考えられます。特に拘縮を起こしている場合はリスクが高くなります。
また、バッグの種類はその内容物によって生理食塩水、液状シリコン、コヒーシブシリコン、その他(CMC、ムコ多糖類など)に分類されます。さらに、表面の性状でつるつるのもの(スムースタイプ)、ざらざらのもの(テクスチャードタイプ)、バックの形状によりラウンドタイプ(お椀型)、アナトミカルタイプ(涙型)などに分かれます。内容物に生理食塩水や液状シリコン、コヒーシブシリコンなどが使われたバッグは、破損の恐れやシリコンの漏出、炎症といった症状を引き起こす可能性が非常に高くなっています。【左】破損したバッグをとりだしたもの
【右】右胸が波うっているのがよく分かる- 種類
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生理食塩水
液状シリコン
(旧タイプのシリコン)コヒーシブシリコン
その他
(CMC、ムコ多糖類など)
- 質感
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スムースタイプ
(つるつる)テクスチャードタイプ
(ざらざら)
- 形状
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ラウンドタイプ
(お椀型)アナトミカルタイプ
(涙型)
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- 男性のようなバスト
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力を入れるとバッグが上の方に移動してしまい、男性のようなバストに
大胸筋に力を入れるとバッグが上の方に移動して不自然に盛り上がってしまい、まるで男性のようなたくましいバストに見えてしまいます。この状態を放っておくと、シリコンバッグが押し上げられてバストが硬くなったりします。シリコンバッグを大胸筋下法で挿入した方や大胸筋が厚い方は、この症状を起こしやすくなります。
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- バストの段差
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年齢、出産により元々の乳腺のアンダーバストの位置と、シリコンバッグのアンダーバストの位置がずれて2段になり不自然に揺れてしまいます。
乳腺組織、皮下脂肪が萎縮(いしゅく)することでアンダーバストに段差ができている
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- 変位・左右差
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カプセル拘縮が起きると、シリコンバッグが上方に押し上げられるので、バストの形に左右差が生じたり、乳首の位置が左右バラバラになったりします。また、拘縮が起きていなくても、バストの大きな人が大胸筋下法で手術を行った場合、アンダーバストの位置が左右でずれたりします。
拘縮を起こしてしまい胸が硬くなり左右の形がアンバランスになっている
- エコー診断で早期解決
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ここで紹介しているトラブルは、シリコンバッグを挿入していれば誰にでも起こりうる症状です。
エコー診断で適切な処置を行いましょう。- エコーで確認できること
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- シリコンバッグの状態
- 皮膜・石灰化の状態
- 乳腺の状態