診療録

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実例で紹介「こんな時に豊胸シリコンバッグは破損する」

第54録
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「豊胸用のシリコンバッグが職務中に破裂する恐れがあるから」という理由で、ドイツ西部の州で、警察官を志望した30代の女性が不採用になりました。2016年秋、これを不服として訴えていた女性の主張が裁判で認められ、「豊胸シリコンバッグを理由に不採用にはできない」という判決が下されましたが、そもそも豊胸シリコンバッグはどんな時に破損するのでしょうか?実例とともにご紹介します。

胸の中で豊胸シリコンバッグが破損する要因

一度豊胸シリコンバッグを胸に入れてしまうと、常に不安に苛まれるのが「破損」。事故だけでなく、日常生活の中でも破損の危険性は潜んでいます。

豊胸シリコンバッグ破損の要因1:カプセル拘縮

シリコンバッグ カプセル拘縮

体内に人工物を入れると、周辺を包み込むようにできた被膜がギューッと締め付けて押し出そうとする拒否反応が起こることがあります。シリコンバッグ豊胸後、10人に1人の割合で起こるのがこの「カプセル拘縮」。カチカチのボールのように胸が固まり、その圧迫に耐えられずシリコンバッグが破損することは珍しくありません。


シリコンバッグ 破損

こちらは7年前に他院で入れた豊胸シリコンバッグを取り出したところです。異物感があり、硬さと痛みに耐えかねて相談に来られたゲストですが、やはり豊胸シリコンバッグは胸の中で破損していました。右側の豊胸シリコンバッグだけ赤みがある理由は、表面がざらざらしたテクスチャードタイプで、表面がカプセルに高度癒着していたためです。

豊胸シリコンバッグ破損の要因2:経年劣化

シリコンバッグ 破損 実例

人工物である豊胸シリコンバッグは、年数を重ねるにつれて必ず老朽化します。米国の厚生労働省にあたるFDAでも、10年以内の抜去(摘出)、または交換を勧めています。シリコンバッグ豊胸後は何も異常を感じていなくても、数年に1度の再手術は必須と考えなければいけません。

シリコンバッグ 破損 画像

右の画像は17年前に他院で入れた豊胸シリコンバッグを取り出した時に撮影しました。ご覧の通りバッグは両方とも破損、ボロボロになっています。漏れ出したシリコンが液状化し、周辺組織にからみついて炎症を起こしていました。当院でセオリーとしている脇の下からの抜去は難しいと判断し、胸の下を切開して念入りに洗浄する方法を取りました。

豊胸シリコンバッグ破損の要因3:圧迫

乳がん検診のマンモグラフィーで「豊胸した人の検査は不可」と断る医療機関が多いのはなぜでしょう?それは検査の機会で胸をはさむ時、豊胸シリコンバッグが圧迫によって破損する危険があるからです。中国の報道では、数時間うつぶせでスマホゲームをしていた女性の豊胸シリコンバッグが破損したという例もあったそうです。もし本当なら、よほどの粗悪品か、劣化した豊胸シリコンバッグだった可能性が高い珍しい例と考えられますが、「圧迫」で破損の危険があるのは事実です。

豊胸シリコンバッグ破損の要因4:事故などの外傷

以前の診療録「あの噂の真偽を解説~シリコンバッグ豊胸まさかのトラブル~(前編)」でもご紹介しましたが、飛行機の乱気流で前の座席に胸が当たり、豊胸シリコンバッグが破裂した女性が航空会社を裁判で訴えるというケースがありました。このように交通事故の衝撃で破裂する実例も少なくありません。その他にも珍しいケースがあります。2016年にAFP通信が伝えたところによると、オーストラリアでサイクリング中の女性がカンガルーと遭遇。カンガルーに胸を蹴られたことで豊胸シリコンバッグが破裂、折れたろっ骨の上でシリコンが凝固してしまい、手術を受けるという事故がありました。

豊胸シリコンバッグが破損する前に定期的なエコー検査を

人工物を体に入れる豊胸術は、コンデンスリッチ豊胸など脂肪注入による豊胸とは違い、常に破損の危険と隣り合わせです。豊胸シリコンバッグが破損すると、明らかにしぼんだり、触感が変わることがります。しかし一方で、クリニックでエコー検査を受けて初めて破損が分かることもあります。そのまま知らずに放置したり、誰にも相談できずないと抱え込み受診をためらっていたりすると、漏れ出したシリコンが周辺組織に浸潤し、炎症を起こす危険性が高まります。定期的な検査が必須と考えて、ぜひエコー検査をしっかりやってくれるクリニックに相談しましょう。

知恵まとめ
  • 豊胸シリコンバッグ破損の理由には、カプセル拘縮、経年劣化、圧迫、外傷などがある
  • 豊胸シリコンバッグは脂肪と違い、人工物なので数年に一度は入れ替えが必要
  • 気づかないうちに破損していることもあるので、エコー検査を定期的に受けよう
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