診療録

メインイメージ

「左右差」はシリコンバッグ異常の証 〜腫れ上がったバストの行方〜

第51録
[]

「17年前に豊胸シリコンバッグを入れる手術をしました。3年ほど前から左のバストが腫れて異常が起きているとわかってはいたのですが、なかなか相談できなくて……」。こう言ってカウンセリングに来られたゲストを診察して、「これは難しい手術になるぞ」と覚悟しました。

17年前のシリコンバッグが両方とも破損

シリコンバッグ 破損 症例

「病気かな?」と思ったら、ちょっとの異常でも病院に行くという方は多いと思います。しかしシリコンバッグ豊胸でお悩みの方の中には、豊胸手術をしているという恥ずかしさや後ろめたさが邪魔して、明らかな異常があっても見て見ぬふりをしてしまう方が多いのです。今回のゲストもそうでした。
以前こちらの診療録でも「豊胸手術後に左右差が出るのは異常の証」と触れましたが、今回のゲストは、まさにその実例でした。一見すると、大きく腫れ上がった左胸のみに注目してしまいますが、右胸にも触診で明らかな硬さがみられ、破損が疑われました。当院ではカウンセリング時に、無料で最新鋭の機器による超音波検査を提供しています。この方のエコーを確認すると、やはり両胸ともに破損。右胸は豊胸シリコンバッグを包む被膜の中にスペースができてしまっています。さらに左胸は、被膜の中に一瞬腫瘍のようにみえる異常があり、被膜の外にまで液体のようなものが漏れ出していました。エコーを詳細まで確認したところ、その異常も豊胸シリコンバッグの破損による影響であることが分かりました。

シリコンバッグ 破損 エコー画像

出てきたのはボロボロの豊胸シリコンバッグと、液体化した大量のシリコン

シリコンバッグ 除去 画像

こちらが手術時に出てきた豊胸シリコンバッグと流れ出していたシリコンです。外殻は老朽化が激しく、破損してから長い時間が経過していたことがわかるボロボロの状態でした。

外殻が破れても被膜内に留まるはずのシリコンが漏れ出す理由

現在の主流はコヒーシブシリコンですが、多くの場合、挿入前に「万が一バッグが破けてもシリコンは被膜の外には漏れ出しません」と説明を受けます。しかし実際取り出す際には、今回のように体内に漏れ出したシリコンがどっとあふれてくる例はたくさんあるのです。理由は、リンパ液や血液と混じって液体化するから。長く入れておくほど、周辺組織にジワジワと滲出し、炎症を起こす例も少なくありません。またハイドロジェルの場合は、漏れ出した後に体液を吸い込み、大きく膨張するなどの異常が出る例もあります。

シリコンが漏れ出した部位を1時間半かけて丁寧に洗浄

シリコンバッグ 摘出 傷

漏れ出したシリコンをしっかり洗浄し、約1時間半で抜去(摘出)は終わりました。 THE CLINICで豊胸シリコンバッグの抜去(摘出)を行う場合、ほぼ全例で挿入した際の脇の下の傷を利用し、新たな傷を作らないようにします。しかし今回はシリコンが広範囲に漏れ出し、症状も重篤だったことから、胸の下を切開せざるを得ませんでした。
右の写真が5カ月後の切開部位ですが、ほんのり赤みがあるだけで、ほとんど目立ちません。あと数カ月もすればほぼ分からなくなるでしょう。

米国FDAも警告。「シリコンバッグは平均10年で寿命」

今回のゲストは17年もの長い間、豊胸シリコンバッグを体内に入れ続けていました。これは危険な行為と言わざるを得ません。年間40万件もの豊胸インプラントの挿入手術を行っている「豊胸大国」アメリカでは、厚生労働省にあたるFDAが「インプラントによる豊胸は平均10年で寿命が来る。11年以内には、少なくとも片方が破損する」という調査結果を公表しています。当院には10年未満でも、異常を感じて相談に来られるゲストが後を絶ちません。日本では豊胸シリコンバッグを「半永久的にもつ」などと宣伝しているクリニックも見受けられますが、これはまったくのウソ。「豊胸シリコンバッグは数年で再手術が必ず必要になる豊胸術」ということをぜひ知っておいてください。そして少しでも異常を感じたら、すぐに診察を受けることをおすすめします。

シリコンバッグ抜去後に悩むボリュームダウン問題

SEO注釈

耐久性のほかに、豊胸シリコンバッグのもう一つ大きな問題は、「抜去後のボリュームダウン」です。
多くの場合、バッグを取り出した後は、引き伸ばされていた皮膚や組織がだらんと垂れ下がったりえぐれたような胸になったりします。ただ今回のゲストの場合、もともとの皮下脂肪や乳腺にボリュームがあり、バッグも体格に比べてそれほど大きくなかったので、今回は抜去(摘出)のみで終了しました。5カ月後の診察では、たしかにボリュームは減りましたが、腫れや左右差は残っておらず、一安心です。

ゲストには、手術時に「今後ボリュームダウンが気になるようなら、コンデンスリッチ豊胸で安全に補うことができます」とお伝えしました。不安を抱えたまま豊胸シリコンバッグを入れ続けている女性には、自分の脂肪という安全な素材で、破損の心配もないコンデンスリッチ豊胸への入れ替えをおすすめします。

知恵まとめ
  • 米国FDAが公表している通り、豊胸シリコンバッグは10年前後で寿命が必ず来る
  • 「漏れ出さない」と言われるシリコンでも液状化し、体内で炎症を起こすことも
  • 少しでも左右差や痛みなどの異常を感じたら、すぐ受診を!
検索回数の多いキーワード

ページトップに戻る